ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

小説『シナン』が面白い(1)

f:id:hako-hana:20180129215133j:plain

トルコ美術史において重要な人物として建築家シナンがいます。シナンを描いた日本の小説に夢枕獏著の『シナン』があります。この小説が本当に面白かったためブログで紹介したいと思います。小説『シナン』に出てくる場所、建築物を写真や地図を用いて紹介します。夢枕獏氏の素晴らしい文章から想像するイメージの役立てれば幸いです。

※ 今回は、序章と第1章について紹介します。

 

 

小説『シナン』の基本情報

現在、中公文庫から上巻と下巻の2冊が販売されています。

 

この本ではシナンは1488年に生まれ、1588年まで生きたとされています。1588年まで生きたのは事実です。しかし生まれた年は正確にはわかっておらず、1494年〜1499年頃とされています。

いずれにせよ長生きして、第9代スルタンのセリム1世、第10代スルタンのスレイマン1世、第11代スルタンのセリム2世、第12代スルタンのムラト3世と、オスマン帝国最盛期のスルタンに仕えました。この本では第10代スルタンのスレイマン1世に仕えた時代を中心に、当時巨大な聖堂である「聖ソフィア」よりも大きなモスク(ジャーミー)を建てることに挑戦した建築家シナンの話です。

f:id:hako-hana:20180203215620p:plain 写真引用:Mimar Sinanın Hayatı | Mimar Sinan 

序章 逆さチューリップ

聖ソフィアよりも大きなジャーミーはエディルネにあります。セリミエ・ジャーミーという、第10代スルタンのスレイマン1世の子である第11代スルタンのセリム2世の命によって建てられたジャーミーです。エディルネイスタンブールから車で約3時間の場所です。

f:id:hako-hana:20180204132822p:plain 写真引用:Googleマップを加筆

序章のタイトルにもなっている「逆さチューリップ」は、あらかじめ存在を知らないと見過ごしてしまうほどのものです。大きさは長さ15センチほどで、角が丸くなっているためチューリップの形と分かりにくくなっています。

f:id:hako-hana:20180203221655p:plain 写真引用:https://turkey.euonymus.info/edirne/セリミエ・ジャーミィの歴史/

この逆さチューリップはセリミエ・ジャーミーのどこにあるのかというと、ドームの真下に「泉」があり、その周りにある柱の一箇所にあります。

f:id:hako-hana:20180204134333p:plain 写真引用:Selimiye Mosque - Wikipedia を加筆

セリミエ・ジャーミーには柱、壁、床にチューリップが刻まれておらず、たったひとつ刻まれているのが、この逆さチューリップだけです。そのため逸話があります。この逸話を小説的な想像で表現しています。(それは小説を読んでみてください!)

第1章 デヴシルメ

f:id:hako-hana:20180204212401p:plain

第1章から小説がはじまります。少年シナンが神について考えはじめ、イスタンブールの聖ソフィアを見てみたいと思い、デヴシルメという徴用制度でイスタンブールに行くことになります。

さて、シナンの生まれたアウルナス村はカイセリという大きな街の近くにあります。イスタンブールまでは直線距離にして約700キロメートルです。

f:id:hako-hana:20180204213446p:plain

f:id:hako-hana:20180204213509p:plain 写真引用:Googleマップ

f:id:hako-hana:20180204215750p:plain 写真引用:Ağırnas - Wikipedia

デヴシルメで徴用された少年や青年はクズル・アバと呼ばれる赤い外套を掛けていて、頭には先端の尖った帽子を被っていたとのことです。細密画の下の部分赤い服の少年たちが描かれています。

f:id:hako-hana:20180204220159p:plain 写真引用:Devshirme - Wikipedia

  

 (つづく)

 

このブログの関連記事

turk-art.hatenablog.com

 

このブログのキャラクターのLINEスタンプ販売中 〜遊牧民オスマン〜