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ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

ファッションを知る手がかりに・・・レヴニーの画帳から

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大河ドラマを見たり、歴史のマンガを読んだりすると、その時代のファッションが気になります。特に女性のファッションが気になります。

 

オスマン帝国や、オスマン帝国以前のトルコ民族の女性の服装を描いた資料は少ないです。

その中で、画家レヴニーの女性を描いた細密画はファッションを知る手がかりになります。

 

 

ハレムとセラムルク

「ハレム」という単語を聞くと、男性1人が多くの女性に囲まれているようなイメージをしてしまいます。

ハレムとは、イスラームでは女性の住居空間を言います。それに対して男性の住居空間はセラムルクと言います。イスラーム世界では、屋内においても屋外においても男女が混在して生活することはありませんでした。

オスマン帝国のスルタンのハレムは、規模が圧倒的に大きいです。スルタンを除けば、出入りできる男性は年少の王子たちと、ごく限られた医者や宗教家くらいでした。女性を中心とした組織が成り立っていました。

f:id:hako-hana:20170316144410p:plain 写真引用:Harem - Wikipedia

男女が混在して生活することのないオスマン帝国

どんな生活をしているのかは、ヨーロッパにとってとても気になっていました。オスマン帝国へ使節団を派遣するときは画家を同行させました。画家はスルタンや女性を直接じっくりと見て描くことはできませんでした。ヨーロッパの画家は謁見した人の話を聞いて、想像力でオスマン帝国の人物の肖像画を描きました

f:id:hako-hana:20170316144942p:plain 写真引用:Roxelana - Wikipedia

 

画家レヴニーという人物

西欧化の兆しが見え始めたオスマン帝国の時代は、第23代スルタンのアフメド3世のチューリップ時代です。この時代に活躍したのが、画家レヴニーです。

レヴニー(Abdülcelil Levni)の本名は、アブデュルジェリル・チェレビ(Abdülcelil Çelebi)と言います。レヴニーは雅号で、詩人・画家でした。

生まれの年はわかっていませんがエディルネで生まれ、1732年に亡くなりました。

エディルネで活動していましたが、アフメド3世によってイスタンブールへ行きました。宮廷工房でははじめはサズ文様絵師でした。のちに細密画絵師になりました。ヨーロッパ風絵画が流行する中で、伝統的なオスマン絵画の画風を継承しました

以前の記事で紹介したアフメド3世の肖像画をレヴニーが描いています。

turk-art.hatenablog.com

f:id:hako-hana:20170302150838p:plain 写真引用:Ahmed III - Wikipedia

 

レヴニーの代表作は詩人ヴェフビー(Vehbi)著『祝典の書(スール・ナーメ)』の細密画です。

f:id:hako-hana:20170316152434p:plain 写真引用:Abdulcelil Levni - Wikipedia

 

女性のファッション

レヴニーが描いたもので当時の女性のファッションが最もわかるものは『イスタンブル風俗人物』(TSM H.2164)という画帳です。 

この画帳にはイラン人やヨーロッパ人の肖像画も含まれており、当時の様々な衣装を豪華にまとっています。アフメド3世の治世の豊かな気風がわかります。また、この画帳の女性像は他の作品に比べて官能的に描かれています

f:id:hako-hana:20170315181504p:plain f:id:hako-hana:20170315181513p:plain f:id:hako-hana:20170315181519p:plain 写真引用:Category:Abdulcelil Levni - Wikimedia Commons

f:id:hako-hana:20170316180414p:plain f:id:hako-hana:20170316180422p:plain f:id:hako-hana:20170316180429p:plain 写真引用:Levni, Miniature Artist

f:id:hako-hana:20170315181456p:plain 写真引用:Levni - Vikipedi

 

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メモ

■アブドゥッラー・ブハーリー(Abdullah Buhari)

人物画において画家レヴニーの後継者。

西洋絵画では裸婦を描かれていることは多いですが、イスラーム絵画では(宗教上の理由で)描かれることはほとんどありません。

ブハーリーの浴場で沐浴している裸婦像は、イスラーム絵画としてきわめて稀な作品。

f:id:hako-hana:20170315212843p:plain 写真引用:Abdullah Buhari - Wikipedia

 

体感できる場所

トルコ

トプカプ宮殿

細密画の蔵書はトプカプ宮殿が一番多いようですが、どこまで公開しているかは私は未確認です。

日本

■細密画の作品展

トルコ細密画の教室はいくつかあります。1〜2年に1回程度作品展が開催されると思います。

トルコ細密画は学術的に様々な解釈があるらしく、スヘイル・ユンベル(Suheyl Unver)氏が比較的正統派とのこと。(申し訳ございません、このあたりの詳細はわかりません・・・)スヘイル・ユンベル氏の弟子がギュンセリ・カトー(Gunseli Kato)氏。ギュンセリ・カトー氏は日本で教授していて、現在活躍されているトルコ細密画の先生方を輩出しました。

↓お教室の詳細は各団体にお問い合わせください。

・ユヌス・エムレ インスティトゥート東京 ※FacebookTwitterに案内が掲載されています

アカデミア - 公益財団法人 東洋文庫

トルコ文化センター (トルコ語、トルコ語翻訳・通訳、トルコホームステイ、など) <新宿、東京>

 など

 

参考

講義

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術の見どころ入門』第9回(2016年7月23日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京
  • ヤマンラール水野美奈子『トルコの美術のパトロンと巨匠たち』第12回(2017年2月18日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京

書籍

  • 護雅夫監修『トプカプ宮殿博物館 細密画』:貴重な写真と丁寧な解説付き。年代順に細密画を掲載しているので、変化を感じ取ることができます。(Amazonでは見つかりませんでしたが、大きい図書館に行くとあります)
  • 鈴木董、大村次郷(写真)『図説イスタンブル歴史散歩』:イスタンブールの街を歩きながら歴史を知れる一冊。

 

 

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