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ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

書の芸術、カラヒサーリーという人物

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日本では、「書」を単なる文字として扱うのではなく芸術として認めています。

それはイスラームでも同じです。

イスラームでは神の言葉であるコーランを美しく書くことに重きを置いています。

 

今回はイスラーム書道と、第10代スルタンのスレイマン1世の時代に有名な能書家であるカラヒサーリーについて紹介したいと思います。

 

 

アラビア文字コーラン

日本人は日本語の漢字・ひらがな・カタカナと、ラテン文字に慣れているため、アラビア文字は難解なものに感じてしまいます。確かに日本語にはない文字の要素があります。

まず、アラビア文字は右から左に書きます。

そして、単語の最初・途中・最後でアルファベットの形を変えて、文字と文字を繋げて記述します。アルファベット自体は28文字で少ないですが、アラビア文字は日本人には慣れていません。

 

イスラーム聖典コーランアラビア語で書かれています。神の言葉であるため他の言語に翻訳はせず、アラビア語で暗記・朗誦(ろうしょう)します。

 

神の言葉であるアラビア文字を美しく書くことが要求され、イスラーム文化・芸術で最も重要な分野となりました。イスラーム世界全域で書道が発展し、数々の書体が生まれました。 

書体で最も古いものはクーフィー体(Kufic)です。

アッバース朝の8世紀〜10世紀に、コーランの写本における一般的な書体として使われました。

f:id:hako-hana:20170310120951p:plain 写真引用:Kufic - Wikipedia

その後13世紀に能書家ヤークート・ムスタアスィーミー(Yaqut al-Musta'simi)がイスラーム基本6書体を整えました

 イスラーム基本6書体(六筆、al-aqlam al-sitta)は以下です。

  1. スルス体(Thuluth)
  2. ナスフ体(Naskh)
  3. ムハッカク体(Muhaqqaq)
  4. ライハーニー体(Rayhani)
  5. タウキーウ体(Tawqi')
  6. リカーウ体(Riqa')

クーフィー体と比べるとこの6書体は曲線的な丸みを帯びた書体です。

f:id:hako-hana:20170310120742p:plain 写真引用:Ibn Muqla - Master Calligrapher

なお、オスマン帝国の建築の銘文や装飾で最も好まれた書体はスルス体です。

f:id:hako-hana:20170310172443p:plain f:id:hako-hana:20170310172453p:plain 写真引用:Süleymaniye Mosque - Wikipedia

 

カラヒサーリーという人物

カラヒサーリーの本名はアフメッド・シェムセッディンと言います。

カラヒサーリーはイスタンブールに来た当初は縫製師でしたが、1482年頃から書家として活躍し始めました。

師は、第7代スルタンのメフメト2世時代にイスタンブールに来たイランの能書家エセドゥッラーフ・キルマーニです。エセドゥッラーフは、イスラーム基本6書体を整えたヤークートの継承者です。そのためカラヒサーリーもヤークートの書体を継承しています

 

カラヒサーリーは第10代スルタンのスレイマン1世の時代に活躍し、作品を残しています。

コーラン

f:id:hako-hana:20170310175821p:plain f:id:hako-hana:20170310175832p:plain 写真引用:アフメド・カラヒサーリー - Wikipedia

スレイマニエ・・ジャーミーの銘文

f:id:hako-hana:20170310172501p:plain 写真引用:Süleymaniye Mosque - Wikipedia

カラヒサーリーはイスラームの書法を残しています。弟子(であり養子)のハサンが後継者として有名です。

 

実は身近なカラヒサーリーの書体

カラヒサーリーの書体は現在でも身近な存在です。

それは、お守りのようなアラビア文字が書かれたアクセサリーです。カラヒサーリーが考案した書体のミュセルセル体(müselsel)が使われいます。

 

写真引用:U7 Fashion JewelryAmazonのページ(リンクは写真をクリックしてください)

 

まとめ

能書家カラヒサーリーは、第10代スルタンのスレイマン1世の時代に活躍しました。 

カラヒサーリーは、13世紀の書の巨匠のヤークートの書体を継承しています。カラヒサーリーの考案した書体は現在でも身近な存在となっています。

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メモ 

■能書家ヤークート・ムスタアスィーミー(Yaqut al-Musta'simi)

13世紀アッバース朝の時代の能書家。「書の巨匠」と言われる人物です。

イスラーム基本6書体(六筆、al-aqlam al-sitta)を整えました。ヤークートの書体は後の時代に受け継がれていきます。

f:id:hako-hana:20170310173459p:plain 写真引用:ヤークート・ムスタアスィミー - Wikipedia

 

体感できる場所

トルコ

■トルコ・イスラーム美術博物館

イスラーム美術を取り揃えている博物館。イスラーム書道の作品もあります。

■サークップ・サバンジュ美術館

常設のコレクションにイスラーム書道の作品が豊富にあります。

日本

アラビア書道の作品展

アラビア書道のお教室は全国に数多くあります。カルチャーなどでは年に一回受講生の作品展を開催していることがあります。書道の美しさを知るきっかけになると思います。

↓お教室はこちらを参照してください。

ホーム Home - 日本アラビア書道協会HP (Japan Arabic Calligraphy Association)

 

参考

講義

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術の見どころ入門』第3回(2016年4月30日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京
  • ヤマンラール水野美奈子『トルコの美術のパトロンと巨匠たち』第10回(2017年1月28日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京

書籍

  • 本田孝一『アラビア書道の宇宙-本田孝一作品集』:日本におけるアラビア書道第一人者の作品集。 見ごたえがあります。作品以外のページでは、道具の説明、歴史、アラビア文字の解説などがあって基礎的なこともわかります。

ウェブサイト



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