ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

いつ、トルコは日本美術品を直接輸入したのか?

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2015年に映画『海難1890』が上映されました。トルコと日本の友好関係が表現されていました。

 

トルコと日本はいつから直接関わるようになったのでしょうか?

トプカプ宮殿に日本陶磁器があるので、第7代スルタンのメフメト2世がコンスタンティノープルを征服した15世紀頃なんでしょうか?

 

 

エルトゥールル号遭難事件

トルコと日本が直接関わるようになったのは、映画『海難1890』のエルトゥールル号遭難事件の頃の時代です。

 

トルコを初めて訪問した日本人は、岩倉使節団の一等書記官の福地源一郎と僧侶の島地黙雷です。1873年のことです。

岩倉使節団。歴史の教科書に使われている有名な写真。

f:id:hako-hana:20170308103444p:plain 写真引用:岩倉使節団 - Wikipedia

その後、1887年に小松宮彰仁親王・同妃殿下がイスタンブールを訪問し、第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世に拝謁しました。

1889年に明治天皇小松宮彰仁親王・同妃殿下への厚遇に対しアブデュル・ハミト2世に大勲位菊花大綬章を奉呈しました。

f:id:hako-hana:20170308110600p:plain 写真引用:Order of the Chrysanthemum - Wikipedia トプカプ宮殿美術館蔵

この返礼として1890年にエルトゥールル号を日本に派遣しました。

そして映画『海難1890』で描かれているようにエルトゥールル号は遭難し、救出や献身的援助、義援金などからトルコと日本の親善の礎となりました。

なお、トルコと日本が国交を樹立したのは1924年です。

国交は樹立していない期間はありますが、スルタンと日本は友好的な関わりがありました。

 

第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世

アブデュル・ハミト2世は1824年に生まれ、1918年に亡くなりました。在位期間は1876年〜1909年です。

アブデュル・ハミト2世は日本と皇室外交を行い、日本美術品を収集しました

f:id:hako-hana:20170308115125p:plain 写真引用:アブデュルハミト2世 - Wikipedia

さて、トプカプ宮殿には日本陶磁器がありますが、中国陶磁器と同様に普段使いの食器でした。 

この日本陶磁器は既に収集されていて、ヨーロッパやアラブの市場からトプカプ宮殿へ渡りました。(日本と直接の輸入はしていませんでした)

 

第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世は、皇子時代に1867年の第2回パリ万博を訪問しました。

パリ万博でオスマン帝国は、輸出用の日本の陶磁器、家具、美術工芸品といった「新たな日本美術品(ジャポニズム)」と出会いました。当時、ジャポニズムはヨーロッパ、特にフランスで流行っていました。

「新たな日本美術品」は収集されるようになり、ドルマバフチェ宮殿やユルドゥズ宮殿、その他の離宮に飾られました。

f:id:hako-hana:20170308151521p:plain f:id:hako-hana:20170308151532p:plain f:id:hako-hana:20170308151541p:plain 写真引用:アステイオン83 【特集】マルティプル・ジャパン――多様化する「日本」 - Google ブックス

 

第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世は、ユルドゥズ宮殿に日本風の部屋を作るために日本の美術品で装飾したりするほど、日本美術品を好みました。

日本美術品は、イスタンブールの中村商店支配人の山田寅次郎から注文して購入しました。

 

まとめ

ヨーロッパでジャポニズムが流行っている中、1867年に第2回パリ万博が開催されました。第32代スルタンのアブデュル・ハミト2世は皇子時代に訪問し、「新たな日本美術品(ジャポニズム)」に触れました。

日本と国交が樹立していないにも関わらず、第32代スルタンのアブデュル・ハミト2世は日本と皇室外交を行い、日本美術品を収集しました。トルコが日本と直接関わったのはこの頃です。

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メモ

山田寅次郎(1866年生、1957年没)

実業家、茶道宗徧流8世家元、民間外交官。

エルトゥールル号遭難者への義援金を集め、イスタンブールに届けました。その後20年間に4回滞在し、日本美術品や日本製品を販売する中村商店を共同経営します(支配人)。

※詳しくは後日記事にします

 

体感できる場所

トルコ

ドルマバフチェ宮殿

オスマン帝国3番目の宮殿。第31代スルタンのアブデュル・メジド1世が1856年に建築完成しました。近代化・西洋化に適した建築で、フランスのヴェルサイユ宮殿を模した建築様式と建築装飾が採用されました。見応えのある宮殿です。

■ユルドゥズ宮殿

オスマン帝国4番目の宮殿。もともとは王室の離宮。第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世が増改築して宮殿として建築しました。日本と積極的に関わったスルタンを知る手がかりになると思います。

■現地オプショナルツアー

24時間オンライン予約可能★世界中のオプショナルツアー取扱VELTRA :現地オプショナルツアーが多数あるウェブサイトです。イスタンブールをガイド付きで回るのにオススメです。ドルマバフチェ宮殿やベルベレイ宮殿のツアーがあります。ちなみに検索時は「ヨーロッパ」カテゴリにトルコはあります。 

日本

■美術館

清水三年坂美術館:幕末・明治初期に輸出していた日本美術品を収集し、展示している美術館です。ドルマバフチェ宮殿にあるような日本美術品を見ることができると思います。

 

参考

講義

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術の見どころ入門』第10回(2016年7月30日)、第12回(2016年8月27日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京
  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術のパトロンと巨匠たち』第12回(2017年2月18日) @ユヌス・エムレ インスティトゥート東京
  • セルチュク・エセンベル、ヤマンラール水野美奈子、坂本勉、鈴木董『山田寅次郎研究会2017』(2017年2月10日、11日) @ワタリウム美術館

書籍

 

映画

  • 『海難1890』:2015年に公開された映画。1890年のエルトゥールル号遭難事件と1985年のイラン・イラク戦争の日本人救出について描いた作品です。

 

 

 

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