ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

欲しくて欲しくてどうしようもない憧れの中国美術品

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中国と聞くとどういうイメージがありますか?

 

中国は4,000年、5,000年と歴史が深く、文明や技術がどこよりも発達している時期がありました。

オスマン帝国が欲しくて欲しくてどうしようもない憧れのものは中国にありました。

それは、周辺国からオスマン帝国への献納品となるほど。

なぜそこまで憧れたのでしょうか?

 

 

トプカプ宮殿の中国陶磁器のコレクション

トプカプ宮殿には中国や日本の陶磁器のコレクションが数多く残っています。

中国陶磁器は1万点以上の食器が現在保存されていて、宋、元、明、清の時代のものが保存されています。

これらは観賞用というよりも、スルタンの食事や宴会のときに使われていました(普段使い)

オスマン帝国の購入品はもちろん、周辺国からの献納品がトプカプ宮殿に収められています。

f:id:hako-hana:20170301102102p:plain f:id:hako-hana:20170301102113p:plain f:id:hako-hana:20170301102120p:plain 写真引用:Chinese and Japanese Porcelains | Topkapı Palace Museum Official Web Site

 

世界の最先端技術を持つ中国

磁器

白い磁器が最初に作られたのは中国の宋から元の時代(12〜14世紀)とされています。

ちなみに磁器が作れるようになったのはヨーロッパでは18世紀頃、オスマン帝国では第34代スルタンのアブデュル・ハミト2世の19世紀です。

自国で作れるようになるまでは輸入に頼っていました。

自国では手に入れられないとても貴重なものだったわけです。

紙は紀元前に中国の蔡倫が発明しました。

製紙工場ができたのは、イスラーム世界では8世紀、ヨーロッパでは12世紀です。

イスラーム世界に製紙工場ができたのは、751年のタラス河畔の戦いでの中国人捕虜によって伝来したからです。

タラス河畔の戦いは、アッバース朝が中国の唐の軍隊を破った戦いです。

タラス河畔の戦い以前のイスラーム世界やヨーロッパではパピルスや羊皮紙などを使っていました。

絹は紀元前に中国で生産されていました。

ヨーロッパでは6世紀に絹の製法が入り、12世紀に生産を始めたとのことです。

 

シノワズリ

最先端技術を持つ中国のものは憧れとなりました。

それはシノワズリ(中国趣味)を引き起こし、トルコ民族の美術に影響を与えました。

タイルに中国の吉祥文(麒麟、扶桑、雲など)が用いられたり、テズヒップやナクシュに写実的な草花が描かれるようになりました。

 

麒麟トプカプ宮殿 割礼の間)

f:id:hako-hana:20170301122332p:plain 写真引用:Circumcision Room | Topkapı Palace Museum Official Web Site 一部分

■扶桑(≒生命の樹≒春の樹)(トプカプ宮殿 割礼の間)

f:id:hako-hana:20170301123836p:plain 写真引用:asahi.com : 朝日新聞社 - トプカプ宮殿の至宝展〜オスマン帝国と時代を彩った女性たち〜 トプカプ宮殿の秘密

 

まとめ

中国で作られているものは自国では作ることができず、とても貴重なものでした。

中国美術の絵柄や画題をトルコ民族は寛容に吸収し、オスマン帝国独自の美術へ発展しました。

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メモ

オスマン帝国では19世紀まで磁器を作ることができませんでした。

そのため、陶器の技法で磁器に似た質感を出す釉薬を開発しました。

酸化コバルトで絵付けをする染付の技法を開発し、多彩な絵付けをしたイズニク陶器やイズニク・タイルのようなオスマン帝国独自の陶器やタイルの製作に成功しました。

f:id:hako-hana:20170301115025p:plain 写真引用:イズニク - Wikipedia

 

サファヴィー朝から献納された『サライ・アルバム』という画冊には中国絵画の作品が多く掲載されていました。

トプカプ宮殿の宮廷工房の画家たちが、作品の参考にしていた可能性が高いです。

 

体感できる場所

トルコ

トプカプ宮殿

中国陶磁器が展示されていて、良質なものが多いです。

日本

 ■美術館・博物館

中国陶磁器を展示している美術館・博物館は多くあります。オスマン帝国やヨーロッパの人が憧れた磁器を感じることができると思います。

東京国立博物館 - トーハク

大阪市立東洋陶磁美術館

 最近はイスラームなどの展示はしていませんが、アジアという意味で興味深い展示をよくしています。

ミュージアム - 公益財団法人 東洋文庫

 

参考

講義

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術の見どころ入門』第8、10、12回(2016年7月9, 30日, 8月27日)@ユヌス・エムレ インスティトゥート東京

書籍

  • 杉村棟 編さん『世界美術大全集 東洋編17 イスラーム』:イスラーム美術をカラー写真で幅広く沢山載っている一冊
  • 『Turks』:600年〜1600年のトルコ民族の美術品が載っている写真集

 

ウェブサイト

 

 

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