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ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

余の歴史書を書け byスルタン

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偉業を成し遂げた人は、その歴史をどうやって後世に残しているのでしょうか?

 

自分で書いているのか。

誰かに書かせているのか。

 

生きているうちに書いているのか。

亡くなった後に書いているのか。

 

オスマントルコでは、とあるスルタンから歴史書をしっかりと書かせています。

 

 

スルタンを主役とした歴史書

このブログで何度か記事にしている第7代スルタンのメフメト2世は、肖像画を描かせることを好んでいました。

トルコ民族は先祖崇拝する傾向があったため、肖像画を描くことに躊躇しませんでした。

 

その後、第9代スルタンのセリム1世が歴史書の作成の道を開きました

 

セリム1世は冷酷者(=ヤヴズ)というあだ名があります。

父帝バヤズィット2世を退位させ(暗殺という説もあり)、兄弟の王子とスルタンの地位を巡って戦争をしたなどの理由から冷酷者というあだ名がつけられました。

スルタン即位後はイランのサファヴィー朝やエジプトのマムルーク朝との戦いに勝利し、領土の拡大と安定が成されました。

 

文化レベルの高いイランのサファヴィー朝や、独自のエジプト・イスラーム文化を持っていたマムルーク朝の工人や画家をオスマン帝国に連行しました。

 

セリム1世は自らの業績を記録することに関心を持ちました。

 『セリム1世の詩集』はスルタンを主役とした歴史書の先駆けを作りました。

このような本の挿絵は、スルタンの肖像画を描かせているのではなく、歴史という物語の中の人物としてのスルタンを描きました

挿絵の製作にはサファヴィー朝マムルーク朝から連行した画家が活躍しました。

 

↓『セリム1世の詩集』

f:id:hako-hana:20170217182337p:plain 写真引用:Selim I - Wikipedia

 

宮廷工房の活動の最盛期

オスマン美術の中心となった宮廷工房は、第10代スルタンのスレイマン1世の時に建築家シナンや文様絵師カラ・メミなどの巨匠を輩出し、その後第12代スルタンのムラト3世の時に最盛期を迎えました。 

 

ムラト3世はも戦場へ出陣しなかったスルタンであり、政治的には大きな功績はありませんが、文芸の発展に力を注ぎました。

 

宮廷工房では「シャーナーメジ」と言われる歴史書執筆者、書家、画家が連携をして数多くの写本を製作しました

↓左からシャーナーメジ、書家、画家

f:id:hako-hana:20170217205639p:plain 写真引用:Ottoman miniature - Wikipedia

写本の挿絵は「細密画(ミニアチュール)」と言われ、オスマン美術特有の写実的な肖像画法や描写法で表現されるようになりました。

 

歴史書は今現在のスルタンの内容を書いたのはもちろんのこと、歴代のスルタンの内容を書きました。

なお、歴史書は「シャー・ナーメ(=王の書)」と呼ばれています。

 

まとめ

第7代スルタンのメフメト2世がコンスタンティノープルを征服し、オスマン帝国の文化の発信源としてトプカプ宮殿の宮廷工房の組織作りを行いました。

第9代スルタンのセリム1世がスルタンの歴史書の作成の道を開きました。

その後、第10代スルタンのスレイマン1世が宮廷工房から多くの巨匠を輩出し、第12代スルタンのムラト3世のときにオスマン美術の最盛期を迎えました。

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メモ

■シャー・ナーメ(=王の書)

叙事詩人フィルドゥシーが書いたイラン最大の民族的英雄叙事詩

980年頃に作詞を着手したと言われ、30年後の1010年に完成。

古代ペルシャの神話、伝説、歴史の集大成。挿絵が入れられています。

 

体感できる場所

トルコ

トプカプ宮殿

細密画の蔵書としてはトプカプ宮殿が一番多いようですが、どこまで公開しているのは私は未確認です。

日本

■ネットショップ (実店舗あり)

【楽天市場】ガラタバザール(キリム&雑貨):タイル額 :人物を描いた細密画を扱っています。ぜひウェブサイトをご覧ください。

 

参考

講座

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術のパトロンと巨匠たち』第7〜8回(2016年12月10,24日)、第11回(2017年2月4日)@ユヌス・エムレ インスティトゥート東京

書籍

  • 護雅夫監修『トプカプ宮殿博物館 細密画』 :貴重な写真と丁寧な解説付き。かなりオススメなシリーズの一冊です。(Amazonでは見つかりませんでしたが、大きな図書館に行けばある本です)
  • 『Turks』:600年〜1600年のトルコ民族の美術品が載っている写真集。p270の歴代スルタンの写真を今回のイラストの参考にしました。 

 

 

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