ニャるほど、トルコ美術史

トルコ美術史の紹介。歴史を知れば、もっと楽しくなる!

楽園思想?!トプカプ宮殿の庭園

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日々忙しいと、楽園に行ってみたい・・・と思ってしまうことがあるかもしれません。

ところで、楽園とはどういう場所なのでしょうか。 

 

楽園を表現している場所があります。

それは庭園です。

 

 

楽園思想とトプカプ宮殿の庭園

コーラン』には楽園思想について書かれています。

楽園のイメージが「庭」と結びついたのは、イスラーム以前のもっと昔で、「庭」つまり「自然」が楽園のイメージと結びつくのは世界中同じかもしれません。 

イスラーム聖典コーランでは、天国を描写するときにしばしば庭を用いる。しかし庭が心地よい理想郷、楽園のイメージと結びついたのは、イスラーム以前へと遡る。バラダイスの語源が古代ペルシア語の「囲い込む」に由来することは、それを物語る。乾燥地域における人間と自然との対峙から生ずる必然的事情からではなかったかと思われる。

あるいは緑が繁茂し水の流れる楽園という点では、世界中の人々が同じような天国のイメージをもっているのかもしれない。東南アジアや日本では、人々を取り巻く自然そのものが水と緑に溢れている。したがって自然そのものが楽園のイメージと重なる。

深見奈緒子『世界のイスラーム建築』 p70 

 

さて、トプカプ宮殿のコンセプトの投稿で、第1の門(皇帝門)に 『コーラン』15章45-48節の楽園思想が記されていると書きました。

turk-art.hatenablog.com

 

トプカプ宮殿には樹木や草花で飾られています。

トルコ民族は中央アジア時代からの草花や自然に対する伝統的美意識が存在していたためか、花の品種改良を行ったりして、慈しむ気持ちや愛でる気持ちが強かったようです。

 

外での樹木や草花の庭園だけではなく、中での、つまり宮殿内での庭園にも力を注ぎました。 

それは実在する花々だけではなく、現存する花々の部分を組み合わせて人工的な草花の文様を創造しました。

 

また、中国絵画の要素も利用しました。

もともとのイスラーム世界では絵画に「背景」を描いていませんでした。中国絵画の風景画の影響で、イスラームの絵画にも背景に風景が描かれるようになりました。

 

トプカプ宮殿内は、創造的な(人工的な)自然界が出来上がっていきました

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トプカプ宮殿での楽園の表現

トプカプ宮殿イスラームの楽園を反映した要素として以下があります。

  1. 池・噴水
  2. 樹木:糸杉など
  3. 花:チューリップ、ヒヤシンス、カーネーション、バラなど
  4. 果実:ぶどう、リンゴなど

 

イスラームの楽園のイメージを拡大した要素として以下があります。

  1. 小動物:鹿、小鳥など
  2. 坪庭の世界、箱庭の世界:樹木の下に草花をアレンジ
  3. 想像的庭園と吉祥表現:中国の吉祥文(龍、麒麟、雲など)

 

トプカプ宮殿内では、「割礼の間」のタイルがとても美しいです。

ちなみに割礼はイスラームにとって人生で一番大切なイベントです。

そのため「割礼の間」はかなり力を入れて作られた部屋であり、トプカプ宮殿で重要な場所です。

 

「割礼の間」のタイルには麒麟が描かれています。(写真の左下の対になっている縦長のタイルです)

麒麟は想像上の動物で、対で描かれ、おめでたいことを表現しています。

中国文化の影響を受けています。

f:id:hako-hana:20170213182112p:plain写真引用:Circumcision Room | Topkapı Palace Museum Official Web Site

 

トプカプ宮殿内のタイルは単なる装飾だけではなく、楽園の要素が散りばめられています。

行った際は、その創造的な自然観を楽しんでみてください。

 

壁に貼るとタイルのような模様になるマスキングテープ。部屋がトプカプ宮殿のようになるかも!

 

メモ

トプカプ宮殿の俯瞰図

f:id:hako-hana:20170213181230p:plain写真引用:Little Known Ways to Make the Most of Topkapi Palace – Part 2

 

体感できる場所

トルコ

トプカプ宮殿

宮殿内のタイルから庭園・楽園を感じてみてください!

■現地オプショナルツアー

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日本

トルコ料理

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参考

講義

  • ヤマンラール水野美奈子『トルコ美術の見どころ入門』第6回(2016年6月25日)@ユヌス・エムレ インスティトゥート東京

書籍

  • 川崎景介『花が時をつなぐ』:世界の花の文化についてまとめた一冊。私は第3章の東西の花文化の比較が非常に面白いと思いました。 
  • 深見奈緒子『世界のイスラーム建築』:世界のイスラーム建築の解説本。図や写真が多くわかりやすいです。コラムのページが世界の建築を比較しているので、一言にイスラーム建築といっても随分違うと思いました。

 

 

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